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中小企業におけるHACCPの導入・普及状況

平成30年、食品衛生法の改正が国会で決議され、食品業界全体へのHACCPの導入が決まりました。

大きな食品工場だけに導入されているイメージの強いHACCPが、今後は街の飲食店にも簡略化された形で導入されていきます。

2020年の東京オリンピックに向けて、国はHACCPを普及したいと考えています。しかし、HACCPの普及はそれほど進んでいないのが現状です。

それでは、これまでHACCPはどの程度普及してきたのか、確認してみましょう。

 

 

■HACCPの導入・普及状況

 

農林水産省による「食品製造業におけるHACCPの導入状況実態調査」によると、平成29年度の調査では、次のような結果となっています。

 

調査対象:日本標準分類に掲げる中分類「食料品製造業」及び「飲料・たばこ・飼料製造業(製氷業、たばこ製造業及び飼料・有機質肥料製造業を除く。)」を営む企業

調査基準日:平成29年10月1日現在

 

HACCPを「導入済み」:21.3%

HACCPを「導入途中」:6.4%

HACCPを「導入を検討」:15.4%

 

※「導入済み」・・・「すべての工場で導入している」及び「一部の工場又は一部の工程(ライン)で導入している」

「導入途中」・・・「まだ導入していないが、導入途中の工場がある」及び「これから導入に着手する予定」

「導入を検討」・・・「導入を検討している」及び「今後、導入を検討する予定」

 

この数字を合計すると、43.1%となり、調査対象企業の4割強がHACCPの導入について何らかの取り組みを行っていると考察できます。

 

 

HACCPは、「HACCP支援法」などの国の施策によって、食品業界における認知度が少しずつ高まってきています。しかし、規模の小さな企業や街の小さな飲食店にまでHACCPを普及させるためには、行政機関や業界団体による、より一層の普及活動が必要となるでしょう。

 

 

■中小企業の導入・普及はどれくらい進んでいる?

 

前項でご紹介した、農林水産省が平成29年度に行った「食品製造業におけるHACCPの導入状況実態調査」の結果を販売金額規模別にみると、次のような結果となっています。

 

【5000万円未満】

HACCPを「導入済み」:11.4%

HACCPを「導入途中」:2.0%

HACCPを「導入を検討」:9.9%

 

【3億円以上~10億円未満】

HACCPを「導入済み」:44.2%

HACCPを「導入途中」:20.4%

HACCPを「導入を検討」:18.6%

 

【50億円以上~100億円未満】

HACCPを「導入済み」:89.4%

HACCPを「導入途中」:5.2%

HACCPを「導入を検討」:5.4%

 

上記のように、販売金額の規模別に分類すると、導入状況に大きな差異があることが分かります。販売金額の規模が小さいほど、HACCPの導入は進んでいないのが現状といえるでしょう。

また、従業員数が5人以上の企業を調査対象とした場合と、従業員数が4人以下の企業も含めて調査対象とした場合でも、その結果には差異がみられます。

 

【従業員4人以下を含む】

HACCPを「導入済み」:21.3%

HACCPを「導入途中」:6.4%

HACCPを「導入を検討」:15.4%

 

【従業員5人以上】

HACCPを「導入済み」:33.6%

HACCPを「導入途中」:11.6%

HACCPを「導入を検討」:21.2%

 

従業員数が4人以下の企業を含めると、「導入済み」の割合は5人以上に比べて12.3ポイント小さくなります。よって、従業員数の少ない企業ほどHACCPの導入が進んでいない状況がうかがえます。

 

これらの結果から、中小企業では、大企業に比べてHACCPの導入が進んでいないと考えられます。今後、中小食品等事業者がHACCPを導入するようになるには、食品等事業者側に、それに取り組む人員の確保と時間などが必要となるため、現時点ですぐに、HACCPの導入に取り組める事業者は限られてしまいます。

したがって、行政機関や業界団体などによる更なる支援策等が必要となるでしょう。

 

 

■HACCP導入における支援は?

 

中小の食品等事業者にHACCPの導入・普及を促進させるために、国は「HACCP支援法」という法律を期限付きで定めています。(平成35年6月30日まで)

 

HACCP支援法の内容を簡潔に述べると、施設・設備の改修及び新設の際に、各業界の指定認定機関で定められている高度化基準に基づき、「高度化計画」「高度化基盤整備計画」を作成し、指定認定機関に申請、計画の認定を受け、かつ、株式会社日本政策金融公庫(沖縄県の場合は、沖縄振興開発金融公庫)の金融審査に通ると、低金利融資が受けられます。

また、融資を受けることができる対象や条件も定められており、それについては以下のとおりとなります。

 

【対象】

食品の製造又は加工の事業を行う中小企業者(資本金3億円以下または従業員 300 人以下等)

【対象事業】

①建物の整備

②衛生管理設備の設置

③監視制御システムのための機械・設備の設置

【償却期間】

10年以上15年以内(うち据置期間3年以内)

【限度額】

事業費の80%以内又は20億円のいずれか低い額

【貸付金利】

毎月変動

 

 

■まとめ

 

食品衛生法の改正により、中小の食品等事業者にもHACCPの導入が制度化されます。

HACCPの導入が制度化されることで、中小の食品等事業者にとっては、人員の確保と時間の確保が一時的には大きな負担となるかもしれません。

しかし、HACCPによる衛生管理は、食品等事業者にとって食中毒等の食品事故防止や万が一の事故発生時の迅速な原因究明に役立ち、同時に消費者にとってもメリットとなります。

また、行政機関や業界団体によるサポート体制も、ますます充実していくでしょう。

 

※本記事の内容は、2018年7月現在の内容に基づいています。

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