2015年4月1日に「食品表示法」が施行されました。
では、新たに施行された「食品表示法」とはどんな法律なのか?
また、完全移行となるまでの猶予期間は、どのくらいあるのか?等をご紹介します。
食品表示法は、それまであった「食品衛生法」「JAS法」「健康増進法」の3つの法律を一元化し、より分かりやすい食品表示制度を作るために施行された法律です。この新法に基づく表示への完全移行までの猶予期間は、2020年3月31日(生鮮食品は、2016年9月30日、加工食品[輸入品を除く]の原料原産地表示は2022年3月31日)です。また、所管は消費者庁となります。
食品表示法の施行による大きな変更点としては、下記の4つが挙げられます。
1.一般用の加工食品及び一般用の添加物の栄養成分表示の義務化
2.アレルギー表示の変更
3.「機能性表示食品」制度の新設
4.全ての加工食品(輸入品を除く)に原料原産地の表示
※原料原産地の表示については、2022年3月31日までの猶予期間有り。
では、それぞれを簡単にご説明します。
1.一般用の加工食品及び一般用の添加物の栄養成分表示の義務化
一般用の加工食品と一般用の添加物には「熱量」「タンパク質」「脂質」「炭水化物」「食
塩相当量」の5成分の表示が義務化されました。
また、消費税法第9条に規定する小規模事業者(課税期間に係る基準期間における課税
売上が1000万円以下の事業者)などは、栄養成分の表示が免除されるケースもあります。
2.アレルギー表示の変更
アレルギーの表示は、原材料名の各々に個別に表記する「個別表示」が原則となり、例
外的に全てのアレルゲンを表示する「一括表示」が可能となります。
また、特定加工食品としてアレルギーの表示が義務付けられていなかった、マヨネーズ
や生クリームなどは、「マヨネーズ(卵を含む)」や「生クリーム(乳成分を含む)」と表示す
ることになります。
3.「機能性表示食品」制度の新設
「脂肪の吸収をおだやかにします」などの特定の保健の目的が期待できるという食品の
機能性を表示することができる「機能性表示食品」制度が新設されました。安全性や機
能性を科学的な根拠に基づいて、事業者の責任において表示するもので、消費者庁長官
への届出は必要ですが、「特定保健用食品」とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受
けたものではありません。
4.全ての加工食品(輸入品を除く)に原料原産地の表示
平成29年9月1日に、食品表示法に基づく食品表示基準が改正され、全ての加工食品(輸
入品を除く)の重量割合上位1位の原材料について原料原産地の表示が必要となりまし
た。この改正についての猶予期間は、2022年3月31日までです。
この新法に基づく表示への完全移行の猶予期間は、2020年3月31日(生鮮食品は2016年9月30日、加工食品(輸入品を除く)の原料原産地表示は2022年3月31日)までです。
それまでに製品の表示(ラベル)の改訂などが必要となります。
一般的な流れとしては、
①栄養成分の数値を、分析・計算等で取得する。
②新表示による表示(ラベル)のレイアウトやデザインを検討する。
③新表示の表示(ラベル)を作成する。
④取引先等へ○○月○○日から、新表示に変更する旨の情報発信をする。
というような手順が考えられます。
2020年4月1日からは、この新法による表示が必須となるため、計画的かつ効率的に移行を進められることをお勧めします。
食品表示法は、最初に述べた4つ以外にも多くの変更点があります。2020年4月1日以降は、この新法に基づいた表示にすることが必須となります。また、新法と旧法が混在しない表示を作成することも、最も重要な注意点の一つです。消費者庁や最寄りの保健所に相談し、誤表記のない表示(ラベル)を作成しましょう。
※本記事の内容は、2018年7月現在の内容に基づいています。